ハイブリッド

昨日の土曜日、東大先端研バリアフリープロジェクト主催で行われた、音の静かな車と視覚障害者の移動の安全に関する報告会に参加してきた。研究の報告会、体験会、討論という順で行われた。詳細はウェブに記載するとのことなのでちょっとだけ。
ハイブリッドカー、特にモーターだけで動くことのできるプリウスをはじめとするシリーズパラレル方式のものは、低速走行時やアイドリング時にはほとんど音を出さない。視覚障害者は音を頼りに車の存在を確認しているので、たとえば車庫や路地から出てくる車に気づかずに接触してしまう危険が指摘され始めている。

体験会

イベントでは、これに関する研究報告があり、続いて実際にハイブリッド車を使った体験会が行われた。体験会で使われた車種は

という感じだった。

  • 走ってきて目の前で停止する
  • 目の前を10キロ程度、20キロ程度、もう少し高速で走り抜ける
  • アイドリング状態で音を聞く
  • ガソリン走行している車の後に続いて電動状態のプリウスが走ってくる
  • 角に立っている時に車が速度を落として回り込んでくる

などの条件が試された。やはり怖いのは電動状態のプリウスだった。高速で走っているとタイヤの摩擦音で存在がわかる。しかし、低速で接近して目の前で停止しても、ほとんど音をたてないため集中していないと気づかない。ある程度高速でも、車がきていると気づける最長距離がずいぶん短くなるように感じた。また、アイドリング状態でエンジンを使っていないと、すぐに動ける状態にもかかわらず全く音をたてない。ボンネットに耳をつけてみるという恥ずかしいことも試したが、電子機器の小さな動作音がするだけだった。
さらに、ほかの車の後に続いて走ってくる場合、先行する車のエンジン音に気をとられるので、通常よりさらに存在を発見しにくくなる。横断しようとして車が途絶えるのを待っているようなシチュエーションで、大丈夫と思って渡り始めていたりするとかなり危険だ。
車が静かに走ることは環境的にうれしいことではあるのだが、視覚障害者や高齢者をはじめとして危険な存在にもなりうることが実感できた。

ディスカッション

その後、会場に戻ってディスカッションが行われた。
いろいろな意見が出ていたが、中でも、

  • より歩行者を驚かせず気軽に鳴らせる第二のクラクション搭載や法整備
  • まずはドライバーの側が窓を開けて声で確認するという優しさ

というあたりが印象に残った。
私個人としては、やはり車に周囲の環境と区別できる程度に音を出す仕組みを義務づけるしかないのではという気がする。身を守る側になにか警報機や車に発音を強制するための無線機器などを携帯させるというのはきっと非現実的だし、持ってなかった時にその人の責任というのは厳しすぎる。
また、自分も視覚障害者として言うのだが、視覚障害者は動く時にビジュアルな意思表示を十分しないことがあるように思う。周りを見ている人はきっと、無理っぽい横断をする時は先頭のドライバーに注意を促すような視線を送ったり、それっぽい仕草をしているのではないだろうか。ハイブリッド車問題に限ったことではないが、そのような点について視覚障害者の側も意識していく/教育の場で教えていく必要があるのではないだろうか。
一緒に行った友人との間では、結局明らかにそれが原因と思われる状況で事故が起きないとこの辺の対策は難しいのかもしれないと話していた。そうならないといいのだが。

NHK

そういえば、午前中に行われた実験や体験についてはNHKの7時のニュースで紹介されていた。なんだか微妙に写っていたらしい。しかし、写るんだったら最初に言ってほしかったなあ。