Ubuntu上で簡単Orca体験

Ubuntuが最近一部ではやってきている感じです。
このUbuntuには最初からOrcaというGnome用のスクリーンリーダーが入っているということなので、しゃべらせてみました。

参考にしたページは以下です。

Live CDをしゃべらせる

Ubuntu 8.04 LTSを使いました。なお、一つ前の7.10も以前トライしたのですが、Orcaがちゃんと動いてくれませんでした。
Ubuntu 8.04 LTSのデスクトップ用CDをダウンロードしてCDに焼き、そこから起動させます。
CDを読み始めたと思ったら、数秒待って一度Enterを押します。いろいろ調べると、8.04からここで言語選択リストが出るようになったそうで、上記のEnterは英語を選ぶ意味になります。
次にF5を押してアクセシビリティの設定画面を出します。そして、スタートガイドの情報に従って、3回下矢印キー、そしてEnterを押します。
最後に起動を開始するためにもう一度Enterを押します。
するとCDを読み始め、ブートが始まります。何分かかかりますが、Ubuntu特有の「アフリカ!」という感じの起動音がなり、続いてOrcaの設定画面を読み上げ始めます。
ここですでにGnome Desktopをしゃべる状態になっているので、いろいろ遊ぶことができます。たとえばALT+F1でいわゆるスタートメニュー、ALT+F2でいわゆる「ファイル名を指定して実行」みたいな感じです。
キーボードショートカットはWindowsと若干違う部分があり、またパネルなどの新しい概念があるので、一度はUsing the Keyboard to Navigate the Desktopを読んだ方がいいようです。Gnomeのキーボード操作だけでなく、デスクトップの構成についてもわかるように書かれています。
声の質は思ったより聞きやすいです。昔のFreeTTSはもごもごしていたのですが、音程の問題か、ずっと聞きやすいものになっています。

HDDにインストールする

Ubuntu 8.04 LTSはCDに含まれるwubiというツールでWindowsパーティションの中にディスクイメージを作ってマルチブートでインストールする機能を持っています。
このwubiアクセシビリティ設定機能があり、最初からOrcaのしゃべる状態でインストールすることができます。
注意すべきなのは、Orcaは日本語に対応していません。なので、言語選択では英語を選ぶ必要があります。Orcaは現状日本語を読めないので、後から英語に戻す操作は自力では厳しいでしょう。
インストールの途中で再起動を求めてきます。NTローダのboot.iniにUbuntu用のエントリができているので、HDDを読んだタイミングで下矢印を一度押して、Ubuntuを選ぶ必要があります。ここからは何もしゃべりませんが、Linuxの世界でパッケージのインストールが進みます。ひたすら待っていると再起動します。
Ubuntuを起動する場合も上と同じようにNTローダのメニューでUbuntuを選びます。しばらく待つと、鼓というか太鼓みたいな音がします。これがログイン画面が出た合図になっているようです。インストールの時に決めた自分のユーザ名をタイプし、Tabを一度押して、パスワードを入れ、Enterを押します。すると例のアフリカっぽい起動音がして、Orcaもしゃべり始めます。

アプリケーション

以下のアプリを動かしてみましたが、それなりに使える漢字でした。

  • FireFox: hで見出しにジャンプできるなど、一般的なスクリーンリーダーでできるようなことが一通り可能になっています。「次のLive Regionに移動」というようにARIAも意識したものになっています。完全ではないですが、力を入れているだけのことはあるようです。
  • Terminal: 点字も含めて普通の端末ソフトとして使えました。コンソールでbrlttyを使うよりは切れが悪い面もありますが、実用的だと思いました。
  • Nautilus(いわゆるファイルマネージャ): WindowsExplorerとそれほど違いなく使える感じでした。
  • OpenOffice Writer: Formatのメニューから箇条書きを選んだりしてみましたが、ちゃんと行読みで箇条書きの存在や種類を読み上げてくれていました。

困ったこと

システム管理タスク

Orcaのページにも書かれているのですが、Orcaはログインしたユーザの権限で動いているため、管理のための作業をするためにroot権限で起動したアプリを読み上げできません。一応Orcaとシステム管理タスクについてのページに対策が書かれているのですが、やはり管理系アプリを起動すると無言になります。Windows VistaのUser Access Controlもそうですが、支援技術とセキュリティにはいろいろ相反するところがつきまとうのですね。

点字表示

brlttyを動かすとOrcaから点字を出すことができます。しかし、この設定をUbuntuでどうやるのが適切なのかがいまいちわかりません。一応、以下の手順でALVA Satelliteに点字表示できましたが、再起動すると忘れてくれるみたいです。

  • 事前に/dev/ttyS0のパーミッションを777にする。(Orcaのページに書いてあったが必要性は疑問)
  • Accessories->Terminalを開く。
  • sudo /sbin/brltty-setupを実行する。必要なポートや点字ディスプレイの種類を聞かれる。
  • 終わったらOrcaを再起動する。

まとめ

日頃使うのがウェブブラウザと端末ソフトやメーラーである場合、英語圏ではかなりいいところまで行っているような印象を持ちました。
日本語環境で利用するには、

などが整備されれば、いろいろとおもしろいのではないかと感じました。BEPのリソースが役に立つかもしれません。